(無題)
2018-04-11
糸尾 敦也
糸尾 敦也
ことをなすにはリソースが必要だ。
それは単なるカロリーをささない。
結果を志向する熱量。
つまるところ、私には感情(リソース)が足りなかったのだ。
今日も私は言葉をつむぐ。
誰にも届かない言葉の集合が、今日も電子の海に降り積もる。
失敗した、とは思わない。
心はどうしようもなく現状を容認している。
Ctrl+Sの後、私はベッドに倒れこむ。
冷え切ったこの身に残っているのは、小手先の技術と惰性による継続のみだ。
ふと未来を思考する。
見えたのは変わらない未来。
ヒロイックな破滅すらない、ぬるま湯のような日々の堆積。
始まってすらないのだから終わることはない。
だって、それすら私の持つリソースでは許されなかったのだから。
大きく息を吐いてPCを落とそうとする。
寸前で目に入ったのは一件の着信通知。
届くことはないと思っていた言葉の集合が、私に熱量を運んできた。
終了した文書ファイルを立ち上げる。
結局のところ、物書きなんて人種は単純なのだ。
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