‘GGG ~男色紳士創世記~’

GGG ~男色紳士創世記~ 第四話

2012-04-11
鬼畜先輩

序章 「日常」

 

――――――男色紳士こと、一之森(いちのもり)巧(たくみ)の朝は早い。

この情報社会で生き残るために、玉石混交の情報をあえて仕入れ、その後自ら判別する。

新聞、テレビ、ラジオ、インターネット。全てだ。

その日も巧はお気に入りのサイトを閲覧していた。

「こ…これは!」

そこは全国のブーメラン・パンツ愛好家、通称ブーメラン・パンツァーの情報交換サイトだった。

そこに寄せられたのは、あるブーメラン・パンツに関する情報。

「馬鹿な…シースルーだと…!」

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GGG ~男色紳士創世記~ 第三話

2012-04-11
鬼畜先輩

序章 「遭遇戦」

 

『変態』したままだったことが男色紳士を救った。

超音速で飛来する熱源を紙一重で回避する。直後、背後から聞こえる轟音が男色紳士を硬直させた。

ビルの一階部分、及びアスファルトが着弾地点から球状に溶けている。

(無茶苦茶だ!)

男が引き金を引くたびに、周囲の建築物が致命的な被害を受ける。

「やめろ!なぜこんなことをする!」

攻撃が止む。邪悪なゲイが拠点としていた廃墟は、もはや原型を留めていない。

倒壊した構造物が埃を巻き上げ、視界を遮る。

煙の向こう、男は銃を手に立ち尽くして居た。

「よかった。まずは話を―――」

違う。眼に圧倒的な憎悪が在る。

攻撃が止んだのは、和解の意思では無かった。

あまりの憎悪に固まっていたのだ。間違いなく、全力で殺しに来る。

「なぜ、だと?」

風が吹く。月光に男の顔が浮かび上がる―――

白を通り越し、蒼白と言っていい。

汚れた白衣。黒縁のメガネ。

右手の拳銃、腰に巻いた異形のベルトだけが異様だ。

だが、その眼。敵意が、悪意が、殺意が籠っている。

「それを貴様らが言うか!衆道衆!」

「友を、夢を、希望を!貴様らが奪っていった!」

誤解である。その殺意は紳士が受けるべきものではない。

「待て!俺は衆道衆とは無関係だ!」

「ふざけるな!自力で『変態』するようなゲイが、衆道衆以外にいるわけがないだろうが!

僕は!貴様を、貴様らを、絶対に殺す!」

目の前の男が銃を乱射する。辛うじて廃墟だったそこは、当然のように瓦礫の山へとその姿を変えた。

華麗なステップで紳士は攻撃を避け続ける。

「キリが無い。」

銃を投げ捨てる。出来立ての瓦礫の山の上、男は腰のベルトに手をかける。

―――――起動音。

光が集まる。それは現実か、幻想か。

何処かで見たような光景。

 

「残念だったな。僕も変質者だ。」

 

眼を開けられないほどの桃色。

それもまた、Gの輝き。

光が世界を塗りつぶす。

そして―――――

 

「『変態』ッ!」

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GGG ~男色紳士創世記~ 第二話

2012-04-11
鬼畜先輩

序章 「就職」

 

「では、採用ということで。」

「彼」は溢れ出る喜びに浮かれていた。なんといっても正社員だ。脱・フリーター。紳士的にも素敵なことだ。

「もしもし?一之森さん?」

焦りながらも頷き、返答する。

本名、「一之森(いちのもり) 巧(たくみ)」。もはや「彼」などと持って回った言い方をする必要はない。

巧は自身の名前を誇っていた。かつては自分にその名を名乗る資格が無いと、可能な限り使わなかったほどに。

だがもはや巧を縛る枷は無い。地の文も遠慮しない。

 

民間警備会社。2025年現在、この職業は子供たちの憧れの一つだ。突如訪れた平和は、社会からあらゆる犯罪を駆逐した。そして警察機構や軍隊、警備会社は緩やかに消滅した。現在、文化的、芸術的価値の認められるものを除いて、社会には武器が存在しない。

しかし近年、再び犯罪が起こっている。暴行、傷害、誘拐未遂など。民間警備会社はそれら凶悪犯罪から市民を守る、ヒーローのような職業だ。巧の鍛え上げた肉体を振るうに相応しい職業である。

 

(防人(さきもり)警備(けいび)保障(ほしょう)…か。)

防人警備保障。犯罪を心配する必要が無い、最も平和な時代に新たに興された、最大手にして最古参の警備会社。

利益の大半を装備の充実や福利厚生に充てる、最も従業員思いの警備会社としても有名である。

(しかし…)

疑問は残る。あの「事件」から二週間。突然二次選考の通知が来た。求人に応募したのは記憶が霞むほど前のことで、ほとんど忘れてしまっていた。

なぜ今更呼ばれたのだろうか。それに何か、この会社には違和感がある。

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GGG ~男色紳士創世記~ 第一話

2012-04-11
鬼畜先輩

序章 「変態(HENTAI)」

 

走る、走る、走る。理由を考える余裕など無く、全身の筋肉を、骨を軋ませて少年は雨の町を走っていた。

逃げるのだ。この世の理不尽を集めた、もしくは狂気を固めて創られたかのような「ソレ」から。体内の酸素を絞り出し、震える心を激励し、千切れそうな足を引きずって。

突如、少年に影が落ちた。

「ソレ」がビルの屋上から降ってきたのだ。

「ソレ」は狂気だった。絶望だった。禿頭を輝かせ、少年を飛び越え、行く手を遮った「ソレ」。鋼のように鍛え上げた筋肉は内に秘めるエネルギーを示すかの如く僅かに振動しており、圧倒的な異質さを放っていた。異様な光を宿すその眼が輝き、「ソレ」が褌以外身に着けていないことが少年の思考を止めていた。

「…ゲイ」

自身と同じ、あるいはそれ以上の距離を走ったはずの「ソレ」は息ひとつ切らさず、雨に打たれる少年を見据えていた。

そして手が伸び―――

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